スマスイ生物図鑑(海水の世界)

最終更新日:2021年6月30日

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ハリセンボン_スライド

「針千本」という名前ではあるが、実際には350本前後しかない(ハリセンボン)

オオカミウオ

恐ろしい顔をしているが、子煩悩な魚(オオカミウオ)

アオリイカ_スライド

イカ類の中でも遊離アミノ酸が特に多く含まれているのでおいしい(アオリイカ)

クリオネ_スライド

1年間の絶食にも耐えることができる(ハダカカメガイ(クリオネ))

イシヨウジ_スライド

一夫一妻の配偶システムを持ち、どちらかが死ぬまで同じ相手と繁殖する(イシヨウジ)

アカクラゲ_スライド

戦国武将の真田幸村が、乾燥させたアカクラゲの粉を、敵に振りかけ、くしゃみを連発させ困らせたことから、「ハクションクラゲ」の別名を持つ(アカクラゲ)

シロワニ_スライド

いつも口を半開きにしているので恐ろしげな歯が目立つが性質はおとなしいサメ(シロワニ)

季刊誌「うみと水ぞく」のスマスイ生物図鑑のコーナーから、スマスイに棲む生きものたちの一部をピックアップしてご紹介します。写真をクリック(タップ)すると、大きな写真をご覧いただけます。掲載は五十音順。掲載内容は「うみと水ぞく」の各号発行当時のもので、現在の情報と異なる可能性があります。

アオウミガメ

アオウミガメ
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全7種のウミガメの中では唯一草食性で、浅海に生えているウミヒルモやアマモ、マクサなどの植物を食べる。そのためか、顎(あご)はあまり頑丈でなく、その分、外見上優しく見える。産卵は熱帯の島々で行われ、日本では南西諸島や小笠原で行われている。本州、四国、九州の沿岸は海藻が多く、本種の幼体の重要な餌場であることが明らかになりつつある。昔は食用にされ、特に、ウミガメのスープはアオウミガメから作られた。(『うみと水ぞく』2010年9月号)

  • 学名:Chelonia mydas
  • 生息地域:北海道を除く日本沿岸;インド・太平洋,大西洋,地中海の温帯〜熱帯域.

アオリイカ

アオリイカ
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外見は胴の縁全体にひれを持っていて、コウイカの仲間によく似ている。しかし、石灰質の固い甲はなく、ヤリイカ等と同じツツイカ目に属していて、甲は薄くて透明な軟甲である。オスは腹部背面に白い断続的な線があり、メスは斑点模様がある。通常は深い所に生息しているが、春から夏にかけて沿岸の浅場にやって来て、海藻などにサヤエンドウのような卵塊を産み付ける。イカ類の中でも遊離アミノ酸が特に多く含まれているのでおいしい。(『うみと水ぞく』2016年9月号)

  • 学名:Sepioteuthis lessoniana
  • 生息地域:北海道以南、インド洋〜ハワイ以西の太平洋の熱帯・温帯域.

アカウミガメ

アカウミガメ
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関東以南の砂浜で5〜8月に産卵するウミガメ。北太平洋では日本でしか産卵しないので、日本の砂浜がなくなれば、北太平洋から消えると考えられている。昔は須磨の海岸でも産卵していたが今は聞かない。動物食で海底の貝やヤドカリ、水中を漂うヒカリボヤなどを食べる。そのためか熱帯より栄養の多い温帯に生息する。当園の個体は定置網に入って保護されたり、砂浜で孵化(ふか)した子ガメが成長したものである。環境省の絶滅危惧2類。子ガメはメキシコ沖まで泳いでいって成長するため、日本、アメリカ、メキシコが共同して保護を行っている。(『うみと水ぞく』2010年6月号)

  • 学名:Caretta caretta
  • 生息地域:インド−太平洋、大西洋、地中海の温帯〜熱帯.

アカクラゲ

アカクラゲ
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日本近海で冬季から初夏にかけて見られるクラゲ。傘の直径は10cm前後で、大きなものでは直径20cm、口腕の長さは1m以上になる。傘の周りには稚魚がよく群れている。触手には毒があり刺されると痛い。また、戦国武将の真田幸村が、乾燥させたアカクラゲの粉を、敵に振りかけ、くしゃみを連発させ困らせたことから、「ハクションクラゲ」の別名を持つ。瀬戸内海や若狭湾ではカワハギやタイなどの釣り餌として用いられる。(『うみと水ぞく』2011年3月号)

  • 学名:Chrysaora melanaster
  • 生息地域:北海道以南〜中国台湾北東部.

アカサンゴ

アカサンゴ
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水深100〜300mの海底に生息し、形状は平たく扇形で枝の先端は多数に分かれる。体の中にある骨軸と呼ばれる骨格は赤く、磨くと何とも言えないつやがある。そのため「宝石サンゴ」と呼ばれ古くから装飾品として加工され、珍重されてきた。短期間で採集できるが成長が遅いため、現代においても貴重性は変わらず、特に大型のものは高額で取り引きされる。日本では主に、高知県、鹿児島県、沖縄県で漁獲される。水流に乗って流れてくるプランクトンやその死骸を食べているといわれており、飼育には常にある程度の水流が当たる工夫が必要。ただし、それだけでなく他にも課題は多く残っており、長期飼育が非常に難しい生きものである。(『うみと水ぞく』2014年12月号)

  • 学名:Paracorallium japonicum
  • 生息地域:相模湾、伊豆諸島〜小笠原諸島,紀伊半島〜薩南諸島の太平洋沿岸、琉球列島、台湾近海.

アマクサクラゲ

アマクサクラゲ
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九州の天草地方でよく見られることから名付けられたクラゲで、傘は直径10cmほどになる。傘の縁から16本の長い触手が、また傘の中央からは、ひだのある4本の口腕がそれぞれ伸びる。刺胞(しほう)は触手だけでなく、傘の表面にも多数ある。刺胞毒が強いため、刺されると炎症が起き、ひどい場合は患部が壊死する。他のクラゲを捕食する代表的なクラゲで、当園ではミズクラゲを適当な大きさの角切りにして与えている。大きな餌でも飲み込めるが、重さで水槽の底に沈むことがあるため、餌の大きさや水流の加減に工夫が必要である。(『うみと水ぞく』2016年3月号)

  • 学名:Sanderia malayensis
  • 生息地域:房総半島以南の太平洋沿岸,富山県以南の日本海~東シナ海沿岸,瀬戸内海;インド・西太平洋の熱帯~暖温帯.

イシヨウジ

イシヨウジ
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浅い砂礫(されき)底や転石帯、サンゴ礁に生息するヨウジウオの仲間。オスには喉元に青色と黒色のしま模様があり、さらに繁殖期になると尾部腹面にある育児嚢(のう)が発達するため、雌雄の判別がつく。一夫一妻の配偶システムを持ち、どちらかが死ぬまで同じ相手と繁殖する。パートナーとなった雌雄は、日の出直後に「あいさつ行動(互いに体を曲げて体側を見せつけ合う)」を行い、互いの生存を確認する。この行動には、短時間で一夫一妻の関係を維持しながら、繁殖するタイミングを合わせる意味があると考えられる。(『うみと水ぞく』2018年12月号)

  • 学名:Corythoichthys haematopterus
  • 生息地域:伊豆諸島以南の太平洋沿岸、新潟県、山口県日本海沿岸、台湾、インド・西太平洋域.

イセエビ

イセエビ
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夜行性で昼間は岩の割れ目などに潜む。繁殖期は5〜8月。メスは約1カ月間、卵を尾部に抱え保護する。孵化(ふか)直後はフィロソーマ幼生と呼ばれ、「透明で平べったいクモ」のような姿で300日以上に及ぶ浮遊生活を送る。親とはかけ離れた姿のため、この幼生は発見当初、別種と考えられていた。フィロソーマはその後、透明だが親に似たプエルルス幼生に変態する。この幼生はさらに2〜3週間の浮遊生活を送るが、その間は絶食。これら約1年に及ぶ浮遊生活を送った後、ようやく稚エビとなって着底する。幼生期は黒潮で北上し、黒潮反流で南下する長旅をする。フィロソーマの飼育が非常に困難なため、安定した養殖技術が確立されていない。(『うみと水ぞく』2012年3月号)

  • 学名:Panulirus japonicus
  • 生息地域:千葉県〜鹿児島県の太平洋沿岸、九州西岸域、東シナ海沿岸.

イトマキヒトデ

イトマキヒトデ
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日本の沿岸で最も多く見られるヒトデで、岩場や岸壁によく張り付いている。腕は短く切れ込みが浅く、糸巻きに形が似ていることからこの名前が付いた。体色は濃い青緑色で不規則な橙赤色の斑紋があるものが多いが、朱赤色のものなどさまざま。体の下側にある口から胃袋を反転して出し、餌を包み込んで消化・吸収する。餌は貝類やウニ類、魚の死骸(しがい)など。(『うみと水ぞく』2010年9月号)

  • 学名:Asterina pectinifera
  • 生息地域:北海道〜九州、東シナ海、朝鮮半島.

イヌザメ

イヌザメ
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沿岸の岩礁域やサンゴ礁に生息する。夜行性で、底生性の甲殻類や小型の魚類などを捕食する。幼魚には黒色の横じまがあるが、成長するにつれて退色し、成魚では暗褐色になる。およそ70cmで成熟する。泳ぐ姿が、鼻を地面に押し当てながら進む犬の姿に似ており、名前の由来となっている。交尾はオスがメスの胸びれに嚙みついて行い、メスは卵を一度に2個産卵する。卵は潮に流されないよう、長い粘着性の付着糸により海藻などに絡み付き、約半年で孵化(ふか)する。インドやオーストラリアでは食用とされることもある。(『うみと水ぞく』2011年9月号)

  • 学名:Chiloscyllium punctatum
  • 生息地域:南日本太平洋沿岸;〜東シナ海、南シナ海、大スンダ列島、フィリピン、東部インド洋、オーストラリア北岸.

イボヤギ

イボヤギ
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刺胞(しほう)動物門花虫綱に属する非造礁性のイシサンゴの一種。岩陰や消波ブロックの裏面など、光が直接当たらず、潮通しの良い場所に、直径10cmほどの群体をつくって生息する。褐虫藻(かっちゅうそう)は持たず、体の肉の色は赤からオレンジ。日中は触手を引っ込めて縮んだ状態のことが多く、さながらブヨブヨしたイボのように見える。夜間は鮮やかなオレンジ色の触手を広げ、動物プランクトンを捕らえて食べる。当園では消灯後にエビやアミエビのペーストを海水で溶いたものを与えている。消灯直前にアミエビ汁を与え、その匂いで触手を伸ばさせることがポイント。(『うみと水ぞく』2011年12月号)

  • 学名:Tubastrea aurea
  • 生息地域:房総半島以南〜インド・太平洋の温帯・熱帯域,紅海.

ウツボ

ウツボ
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ウツボの仲間の中で、房総半島から鹿児島にかけて最も多く生息する種。沿岸の岩場に住んでおり、体がすっぽり収まる狭いところを好む。体は細長く、鱗(うろこ)は厚い皮膚の中に埋没している。黄色と茶色のまだら模様が特徴的で、胸びれと腹びれはない。魚類や甲殻類、タコなどを鋭い歯で捕食する。地方によっては、筒を使って漁獲し食用にする。当園では岩の間に隠れる魚というテーマの水槽で展示。(『うみと水ぞく』2010年6月号)

  • 学名:Gymnothorax kidako
  • 生息地域:琉球列島を除く南日本、台湾、フィリピン.

ウミサボテン

ウミサボテン
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クラゲやイソギンチャクに代表される刺胞(しほう)動物の仲間で、水深10m以浅の砂泥底に生息する。強い光を嫌うため、昼間は収縮して砂地の中に隠れていることが多く、夜になると海水を取り込んで大きく伸長し、植物のサボテンのような姿になる。ただし、濁っている場合は日中でも見られることもある。展示水槽は昼間照明を暗くし、夜間明るい光を当てることで生活リズムを昼夜逆転させている。サボテンの棘(とげ)状のものはポリプで、触手を持ち、プランクトンを捕まえて食べる。外部から刺激を与えると黄緑色に発光するが理由は不明。(『うみと水ぞく』2012月12号)

  • 学名:Cavernularia obesa
  • 生息地域:北海道以南、西太平洋〜インド洋域.

ウメボシイソギンチャク

ウメボシイソギンチャク
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外海に面した潮間帯の岩礁域で、集団になって生息していることが多い。本種は、有性生殖を行うほか、親と同じ形をした5mm程度の子どもを口から放出する無性生殖も行う。そのため、集団は遺伝子が同じクローン個体で構成されていることが多い。ウメボシイソギンチャクは、他のクローン集団や他種とすみ場所をめぐって争う。これらの個体と接触すると、体壁の上部にある周辺球という刺胞を持った球状の攻撃器官を膨らまし、相手に押し付けて攻撃する。争いに負けた相手は足盤を動かして逃げるか、しぼんで死んでしまう。地中海沿岸地方では本種をフライなどにして食べる。(『うみと水ぞく』2011年12月号)

  • 学名:Actinia equina
  • 生息地域:北半球の温帯.

エイラクブカ

エイラクブカ
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全長約1.2mになるドチザメ科の一種。水深100m以浅の海底に生息する。底生で移動力が低いため、分布域が限られている。自然下では主に頭足類と魚類を捕食している。交尾期は6〜8月。胎生で、約10カ月の妊娠期間を経て8〜22匹の子どもを出産する。胎仔(たいし)は母親の子宮内で発生が進むが、胎盤を形成しないため直接母親から栄養は受け取らずに、自分の持つ卵黄の栄養で育ち、親と同じ姿まで成長すると産まれてくる。2012年6月に徳島県牟岐町の沖にて延縄(はえなわ)漁で捕獲されたものを当園に搬入し、翌日、妊娠していた個体が出産した例がある。(『うみと水ぞく』2013年3月号)

  • 学名:Hemitriakis japanica
  • 生息地域:南日本〜東シナ海,中国,台湾,韓国.

エゾメバル

エゾメバル
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メバルに似ているが、尾びれの後縁が白いことで区別できる。11月頃に交尾をするが、精子はメスの体内で4カ月以上とどまり、卵巣が成熟する3〜4月に受精する。その後、メスの体内で発生が進み5〜6月に仔魚(しぎょ)として産み出される。ガヤガヤとたくさんいるということから、「ガヤ」と呼ぶ地方がある。(『うみと水ぞく』2011年3月号)

  • 学名:Sebastes taczanowskii
  • 生息地域:岩手県以北、北海道の各地〜沿海州.

エラブウミヘビ

エラブウミヘビ
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屋久島以南の南西諸島の沿岸でよく見られる。コブラ科の毒蛇で、エラブトキシンという神経毒を持つが、牙が小さく、性質もおとなしいため噛まれることはほとんどない。産卵は陸上の狭い岩の隙間などに上陸して行われる。そのため、普通のヘビと同じように腹板という地面をはうための鱗(うろこ)がある。交尾は雌雄1対のこともあるが、数十匹が絡み合っていることもある。(『うみと水ぞく』2011年3月号)

  • 学名:Laticauda semifasciata
  • 生息地域:南西諸島〜インド洋.

エンタクミドリイシ

エンタクミドリイシ
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固着性のテーブル状群体サンゴ。群体中央部から放射状に伸びた枝が、互いに融合して網目状になり、さらに融合が進むと網目が詰まって一枚の板状のテーブルになる。温帯地方のサンゴ群集では普通種。逆に熱帯地方のサンゴ礁では稀になる。近年、サンゴ分布の北上がしばしば報道されているが、本種についても分布の北限の更新が次々と確認されている。当園の本種は10年ほど前に鹿児島県笠沙町から他のサンゴの土台に付いてきたものである。2cmほどの小さな小枝だったものが、現在では直径50cmのテーブル状群体3個にまで成長した。(『うみと水ぞく』2010年6月号)

  • 学名:Acropora solitaryensis
  • 生息地域:千葉県館山市以南、インド−太平洋の温帯〜熱帯.

オオカミウオ

オオカミウオ
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成長すると体長1mを超えるギンポの仲間。冷たい海の岩礁域に住む。細長い体をしていて、腹びれが無く、顔に多数のしわがある。鋭い歯と強靭(きょうじん)な顎(あご)を持ち、ウニや貝類、甲殻類などの硬い殻をもつものをバリバリ食べる。恐ろしい顔をしているが、子煩悩な魚で、親が卵塊に体を巻きつけ孵化(ふか)するまで保護する。(『うみと水ぞく』2010年6月号)

  • 学名:Anarhichas orientalis
  • 生息地域:岩手県以北〜北部日本海、オホーツク海、ベーリング海.

オオセ

オオセ
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浅瀬の岩礁地帯やサンゴ礁域に生息する。自ら泳ぎ回って餌を探すのではなく、獲物が来るのを砂底に隠れて待つ。そのため、サメらしくない平らな体形をしている。最大で全長1.2mほどになる。胎生で、一度に20尾ほどの子ザメを産む。漁業価値は低いが、水揚げされる静岡県下田市では、かまぼこや湯引きにして食用とされる。エビ刺し網で4~5月に頻繁に混獲される。2008年に、日本近海に生息するオオセ科3種(クモハダオオセ、カラクサオオセ、オオセ)が「オオセ」にまとめられた。(『うみと水ぞく』2013年9月号)

  • 学名:Orectolobus japonicus
  • 生息地域:南日本、西太平洋域.

オニオコゼ

オニオコゼ
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水深200m以浅の砂泥底に生息する。胸びれを構成する軟条の下から2本がクモの脚状になっており、それを使い水底をはうように移動できる。背びれの棘に強い毒があり、取り扱いには十分な注意が必要。一方、淡白な白身で人気があり、体の大きさに対して可食部分が少ないため、高値で取引されている。各地で種苗生産が盛んに行われており、神戸市では6月初旬に採卵し、9月頃に5cm程度に育った幼魚を放流している。幼魚時はアマモ場で小型のハゼや甲殻類を主に捕食しているが、成長とともに深場へと移動し、より大型の魚類を捕食するようになる。(『うみと水ぞく』2016年6月号)

  • 学名:Inimicus japonicus
  • 生息地域:本州~九州沿岸、朝鮮半島南東岸~西岸,渤海南部、長江河口以南~広西チワン族自治区以北にかけての東・南シナ海沿岸,台湾.

オニダルマオコゼ

オニダルマオコゼ
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サンゴ礁や岩礁、砂地に生息する。口と目が上を向いていて全身にこぶがある。保護色をしていてあまり動かないため、英名では「ストーンフィッシュ」という。背びれ、腹びれ、臀(しり)びれの棘条(きょくじょう)に毒がある。浅海の砂の中に体が埋もれていたり、岩にそっくりだったりするので気付かずに踏んでしまい、毒のある棘条が刺さると危険。この毒はタンパク質が主成分なので、熱を加えると毒性はなくなる。沖縄などでは食用にされていて、白身でおいしい。最近では、和歌山県などでも確認されている。(『うみと水ぞく』2010年9月号)

  • 学名:Synanceia verrucosa
  • 生息地域:奄美大島以南~インド・西太平洋.

オヤビッチャ

オヤビッチャ
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岩礁域やサンゴ礁で普通に見られる。流れ藻などに付いてきた稚魚が夏季には須磨海岸でも見られるが、冬季には死滅し、繁殖できない。このような現象を無効分散という。全長20cmになり、動物質傾向の強い雑食性。同属のロクセンスズメダイに似るが、尾びれに縦帯模様がないことと、背中が黄色いことで区別できる。繁殖期のオスは、体色が青っぽくなり、オスが卵を守る。名前の由来は、「オヤ」は「親」を、「ビッチャ」は東北・北陸地方で「赤ん坊」を意味し、「親になっても赤ん坊のように小さい魚」という説がある。名前の由来と相反するが、日本産スズメダイ科の中では最も大きくなる種の一つ。(『うみと水ぞく』2011年9月号)

  • 学名:Abudefduf vaigiensis
  • 生息地域:千葉県以南の南日本〜インド・西太平洋.

カエルアンコウ

カエルアンコウ
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沿岸の砂底や砂泥底に生息する小型のアンコウの仲間。当園には時々、底引き網で混獲されたものが持ち込まれる。橙(だいだい)、黄、白、黒などの体色だけでなく、茶色の細かなすじ模様のある個体や、皮弁の多い個体など、外見はバラエティーに富む。付け根部分が長く伸び、腕のように発達した胸びれを使って、海底をはって移動する。口の上に「エスカ」と呼ばれる、背びれの一部が伸長した房(ふさ)状のものがあり、これをくねくねと動かすことで引き付けた小魚を一瞬で捕食する。胃袋は伸縮性があるため大きく広がり、自分の体長と同等の大きな獲物も丸のみにしてしまう。(『うみと水ぞく』2016年12月号)

  • 学名:Antennarius striatus
  • 生息地域:岩手県以北の太平洋側と琉球諸島を除く日本沿岸全域;南シナ海~インド・西太平洋,大西洋.

カクレクマノミ

カクレクマノミ
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主にハタゴイソギンチャクやセンジュイソギンチャクを宿主として共生し、イソギンチャクからあまり離れることなく生活する。雄性先熟型の性転換を行う。一夫一妻制で繁殖を行い、同じイソギンチャクに複数個体が生活している場合、一番大きな個体がメスとなり、二番目の個体が繁殖に参加できる唯一のオスとなる。映画「ファインディング・ニモ」の主人公になったことで一躍有名になり、一部の生息地では乱獲が行われ激減した。(『うみと水ぞく』2010年6月号)

  • 学名:Amphiprion ocellaris
  • 生息地域:奄美大島以南、オーストラリア北西部までの西部太平洋、南シナ海、アンダマン海.

カゴカキダイ

カゴカキダイ
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岩礁域やサンゴ礁に生息し、主に甲殻類や海藻を食べる。名前の由来は、頭部から背びれにかけての盛り上がった輪郭が、肩の筋肉が発達し隆起していた江戸時代の「駕籠(かごかき)」の姿に見えることからきている。以前はチョウチョウウオ科とされていたが、トリクチス幼生期をもたないことから、現在ではカゴカキダイ科に分類されている。浮遊期の仔魚(しぎょ)はほとんど透明だが、全長15mmほどになると、鱗(うろこ)が形成されるとともに黄色の体色が現れ、徐々に縦じま模様になる。「アオヒシャ」「ワビシャ」「マブシ」「オトノサマ」などの地方名がある。(『うみと水ぞく』2011年9月号)

  • 学名:Microcanthus strigatus
  • 生息地域:茨城県以南、台湾、ハワイ諸島、オーストラリア.

カスミアジ

カスミアジ
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成魚は岩礁域やサンゴ礁周辺に群れで生息し、幼魚は内湾の砂底付近で見られる。全長117cm、体重43.5kgの記録があるが、通常は80cmくらい。沖縄では30cmほどの個体が数匹で泳ぐのを見ることができる。成魚は第2背びれ、臀(しり)びれ、尾びれが青いことが特徴だが、幼魚の時は青くない。小魚や甲殻類等の小動物を捕食する。食用となるが、ごくまれにシガテラ毒を持つこともある。(『うみと水ぞく』2011年3月号)

  • 学名:Caranx melampygus
  • 生息地域:南日本、インド・太平洋域,東部太平洋.

カブトクラゲ

カブトクラゲ
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いわゆる「クラゲ」の姿をしているが、ミズクラゲやエチゼンクラゲなどが属する刺胞動物門のクラゲではなく、有櫛(ゆうしつ)動物門に分類されている。大きなもので全長10cmになり、体には繊毛からなる8列の櫛板(くしいた)列がある。この繊毛を波打つように次々と動かすことで泳ぎ、光が当たると反射して虹色に輝く。体は脆(もろ)く壊れやすいが、強い再生力を持つ。刺胞は持たず、餌となる動物プランクトンを粘着胞で絡めとって捕食する。また、雌雄同体で体外受精により繁殖する。時に、大量発生し、発電所の取水口を詰まらせたり、曳網(ひきあみ)漁業に被害を与えたりする。(『うみと水ぞく』2011年6月号)

  • 学名:Bolinopsis mikado
  • 生息地域:日本各地.

カミクラゲ

カミクラゲ
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数mm〜数cm程度の小型種が主体のヒドロクラゲ類の中で、本種は傘の高さが約10cmにもなる大型種。日本固有種で、冬になると漁港や湾内などで多く見られる。須磨海岸では、毎年1月下旬になると小さな個体が姿を現し始め、5月下旬まで観察される。触手の根元に並んでいる「眼点」と呼ばれる紅色の点で光の変化を感じ、多いものでは900個程度あるといわれている。体の中央部に見えるコイル状のものは生殖腺。血管のように見えるところは「放射管」と呼ばれ、胃で消化した餌の栄養分を全身へ運ぶための器官である。(『うみと水ぞく』2012年6月号)

  • 学名:Spirocodon saltator
  • 生息地域:青森〜九州の太平洋沿岸.

キイロサンゴハゼ

キイロサンゴハゼ
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最大で全長3.5cmほどの小型のハゼの仲間。水深2〜15mのサンゴ礁域に生息し、枝状の骨格を持つサンゴの枝間に好んですみつき、サンゴの群体が大きい場合は複数個体がそれぞれの縄張りをつくって同居する。鱗(うろこ)は発達しておらず体表から魚毒性のある粘液を分泌して身を守るが、大型魚にはいともたやすく捕食されてしまうため、導入する際はサンゴの近くで放流するなどの工夫が必要。雌性先熟型の雌雄同体で、初めにメスとして成熟し、その後オスに性転換する。また、本種の生殖腺を調べた研究により、オスが再びメスに性転換できることが判明しているが、どのような状況下で起こり得るかの詳細は不明。(『うみと水ぞく』2019年3月号)

  • 学名:Gobiodon okinawae
  • 生息地域:和歌山県〜愛媛県までの太平洋沿岸,琉球列島;台湾南部〜マーシャル諸島以西・グレートバリアリーフ南端以北の西部太平洋域.

キジハタ

キジハタ
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全長約60cm、体重3kgほどになる中型のハタの仲間。関西圏では「アコウ」(「赤魚」の意)と呼ばれ、特に夏場はフグに代わる高級魚として、小型の1kgサイズで5,000円前後、2kg以上になると1kg当たり1万円以上で取引される。釣り人や漁業者による知見から、岩礁や漁礁に対する定着性が強いといわれており、魚礁効果を検証するための発信機を付けての追跡調査でも、定着場所からほとんど移動しないことが確認されている。高い放流効果が期待されることと市場価値の高さから、近年、大阪湾の各地で種苗放流が行われており、その影響か、当園近隣の漁協でも水揚げされる機会が増えている。(『うみと水ぞく』2017年9月号)

  • 学名:Epinephelus akaara
  • 生息地域:青森県~九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、瀬戸内海,相模湾~九州南岸の太平洋沿岸、朝鮮半島南岸、済州島、台湾南部、福建省~トンキン湾の中国沿岸.

キュウセン

キュウセン
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浅瀬の岩礁域や砂地に生息するベラの仲間。ゴカイや小型甲殻類を食べるほか、小さな二枚貝も口先で殻を割って食べる。多くの個体がメスからオスへと性転換を行う。幼魚やメスは赤みを帯びた体色をしているが、成長してオスになると青みを帯びる。性転換を経たオスは「二次オス」と呼ばれ、縄張り内に複数のメスを抱えたハレムを形成する。一方、幼魚から性転換を経ずにメスに近い体色のままオスになる「一次オス」がいる。一次オスは二次オスのハレム内でメスのふりをしながら産卵に参加する。夜になると砂中に潜って眠るほか、砂の中で冬眠することも知られている。(『うみと水ぞく』2016年9月号)

  • 学名:Parajulis poecilepterus
  • 生息地域:南西諸島を除く北海道南部以南の日本各地;朝鮮半島東・南岸,済州島、台湾島、中国広東省以北の南シナ海沿岸.

クロメバル

クロメバル
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メバルはかつて1種だったが、体色の変異とされていた3タイプが、DNA解析により、クロ、アカ、シロの3種に分けられた。また胸びれの軟条数にも違いがあり、クロは標準軟条数が16本である(アカは15本、シロは17本)。3種とも沿岸の岩礁域に生息し、藻場を好む。クロはほかの2種に比べ、外洋性が強いといわれるが、須磨海岸で確認されているのは現在のところ本種だけである。卵胎生で11月頃に交尾をし、12〜2月に数千から数万尾の全長4mmほどの仔魚(しぎょ)を産出する。張り出した大きな目が特徴であり、名前の由来である。古くから「春告げ魚」とも呼ばれ、旬も春である。(『うみと水ぞく』2010年9月号)

  • 学名:Sebastes ventricosus
  • 生息地域:本州~九州;朝鮮半島南部.

コブシメ

コブシメ
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サンゴ礁周辺の水深30m以浅に生息する。コウイカ類では最大種で、大きいものは外套(がいとう)長50cm、体重10~12kgに達する。寿命は雌雄ともに1年半程度との報告があり、主に甲殻類や魚類を捕食する。当園の展示個体は、沖縄県から入手した卵を孵化(ふか)させたもの。産卵は水温23℃以下になる12~3月が最盛期である。枝状のサンゴ類が産卵床として使われることが多く、沖縄県では「くぶしみ(コブシメの方言)の家」とも称される。直径2cmほどの卵は、サンゴの枝の奥へ一つずつ丁寧に産み付けられ、およそ30~40日で孵化する。(『うみと水ぞく』2015年12月号)

  • 学名:Sepia latimanus
  • 生息地域:紀伊半島以南~インド・西太平洋.

サカサクラゲ

サカサクラゲ
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普通クラゲは傘を海面に向けて浮遊しているが、サカサクラゲは傘を海底の砂地などにくっつけて(逆さになって)生活し、あまり泳がない変わったクラゲ。見た目はクラゲよりもイソギンチャクのように見えてしまう。餌はプランクトンも食べているが、褐虫藻を持っているので、光合成による栄養分も得て成長している。大きいものでは傘径が15cmほどになる。刺胞毒があり、刺されると痛みを感じる。当園のクラゲの中ではよく繁殖している種。(『うみと水ぞく』2010年6月号)

  • 学名:Cassiopea sp
  • 生息地域:鹿児島以南、亜熱帯〜熱帯.

サクラダイ

サクラダイ
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タイとつくが鯛の仲間ではなく、ハタ科の一種。全長20cm程度。オスは背びれ第3棘(きょく)が伸張し、赤い体色に桜の花びらを散らしたような白色斑紋が散在する。メスはオレンジ色に近い体色。ハタ科の魚は性転換することで知られ、本種も例外ではない。生まれてしばらくすると、すべてメスとして成熟し、その後、オスへと変わる雌性先熟型の性転換を行う。このタイプの性転換を行うのは一夫多妻の社会構造を持つ魚で、体が小さく社会的競争力がないうちはメスとして繁殖し、メスを獲得する競争力を得ることが可能と判断できる大きさで性転換を行うので、性転換のタイミングはその個体群の社会構造に左右される。(『うみと水ぞく』2010年6月号)

  • 学名:Sacura margaritacea
  • 生息地域:台湾〜日本(相模湾〜東シナ海、八丈島)のやや深い岩礁域.

シオマネキ

シオマネキ
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内湾や河口干潟のヨシ原やその周辺の泥地に巣穴を掘って生活する。オスの左右いずれか片方の鋏脚(きょうきゃく)は、甲羅と同じくらいにまで巨大化し、表面には顆粒(かりゅう)が密生する。オスはその鋏脚を上げ下げし、メスに対して「ウェービング」と呼ばれる求愛のダンスをする。その様子が「潮が満ちるように招いている」ように見えるため、この名が付いた。また英名の“Fiddler crab”は、同様にウェービングの様子をバイオリン奏者に例えたものである。餌は砂泥中のプランクトンやデトリタスで、砂泥ごと鋏(はさみ)でつまんで口に入れ、濾過摂餌(ろかせつじ)する。有明海沿岸では砕いて塩漬けにした「ガン漬」が郷土料理として有名。生息地の減少により各地で絶滅の危機が増大しており、環境省レッドリスト(2007)では、絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。(『うみと水ぞく』2010年12月号)

  • 学名:Uca arcuata
  • 生息地域:静岡県以西〜南西諸島、朝鮮半島、中国,台湾.

シライトイソギンチャク

シライトイソギンチャク
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暖かい海の浅場、多くはサンゴ礁域に生息し、イソギンチャクの中でも大型になる種類。「口盤(こうばん)」と呼ばれる上側の面全体には、触手が多数並んでいる。口盤の中央には胃腔(いこう)があり、魚やエビなどを食べることもできる。しかし、本種は体内に褐虫藻(かっちゅうそう)が共生し、その光合成産物を栄養として得ている。そのため明るい場所や水流の強さが適当な場所を好む。実は当園の個体には光を照射するだけで餌は与えていない。また野外ではクマノミの仲間が共生する様子が観察されており、当園ではそれらの魚類と共に展示している。(『うみと水ぞく』2012年9月号)

  • 学名:Radianthus crispus
  • 生息地域:四国以南、インド・西太平洋域.

シロワニ

シロワニ
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いつも口を半開きにしているので恐ろしげな歯が目立つが性質はおとなしいサメ。「ワニ」というのはサメの古い呼び方である。餌は魚類やイカなどを食べる。当園では、週3回の給餌の際に毎回食べるわけでなく、時に1カ月くらい食べないこともある。普段は大水槽を大きくゆっくりと周遊しているが、食欲があるときは背びれが水面上に出るまで浮上し、口の近くに落ちた餌に勢いよく食らいつく。卵胎生で、胎仔(たいし)は子宮内で共食いをしながら成長し、約1mで産まれる。成長すると約3mになる。(『うみと水ぞく』2010年6月号)

  • 学名:Eugomphodus taurus
  • 生息地域:相模湾以南、世界の温帯〜熱帯.

スミレナガハナダイ

スミレナガハナダイ
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サンゴ礁域の水深20~50mに生息するハタ科の一種。全ての個体は、まずメスとして成熟し、その後オスへと変わる雌性先熟型の性転換を行う。性転換は、ほかのメス個体に対し競争力を持つ体の大きさになったタイミングで行うが、オスになれる数は集団の大きさで決まる。当園では、同じハタ科のサクラダイと一緒に飼育をしており、自分より体の大きなサクラダイに力負けし、摂餌や遊泳行動において遠慮が見られる。(『うみと水ぞく』2018年12月号)

  • 学名:Pseudanthias pleurotaenia
  • 生息地域:琉球列島以南~サモアからインドネシアにかけての中・西部太平洋.

ソメンヤドカリ

ソメンヤドカリ
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水深10〜100mのサンゴ・岩礁域に生息する。宿とする貝にベニヒモイソギンチャクなどのイソギンチャクを付着させ、その刺胞(しほう)を捕食者に対する防御に使う。そのため、本種では貝だけでなくイソギンチャクの取り合いが同種間でしばしば観察される。実際、当園飼育下において多数を同水槽に収容した際、力の弱い個体のイソギンチャクが全て強奪されていたことがあった。イソギンチャクは本種の餌のおこぼれにありつくことができ、結果的に両種は相利共生関係にあるとされる。しかし、人為的に飢餓状態にするなど特殊な状況に置くと、両種の関係は崩れ、イソギンチャクを剝がして食べてしまう。(『うみと水ぞく』2017年3月号)

  • 学名:Dardanus pedunculatus
  • 生息地域:新潟県以南・房総半島以南の南日本沿岸~インド・西太平洋域.

ダイオウグソクムシ

ダイオウグソクムシ
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海にはさまざまな節足動物が生息するが、本種は成長すると、大きさは50cm、重さが1kgを超える世界最大の等脚類(ダンゴムシやフナムシの仲間)。腹側には歩脚のほかに脚が変化した遊泳脚があり、泳ぐことができる。深海に生息しており、生物の死骸(しがい)などを主に食べる「深海の掃除屋さん」としての役割を担っている。名前のグソクとは「具足(武士が着けていた鎧(よろい)・兜(かぶと)」のことで、身にまとった殻が鎧のように見えることからこの名がついたといわれる。(『うみと水ぞく』2010年6月号)

  • 学名:Bathynomus giganteus
  • 生息地域:メキシコ湾、大西洋、インド洋.

タイヨウノスナ

タイヨウノスナ
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本種のように単細胞の動物を原生動物という。サンゴ礁の浅瀬の海藻などに付着して生活し、直径2mm程度になる。炭酸カルシウムが主成分の石灰質の殻を持つが、その輪郭がまるで幼児が描く太陽のように見えるため、この名が付いた。死んだ後の殻は波によって運ばれ堆積し、沖縄以南の島々では砂浜を形成する。無性世代と有性世代を繰り返すことで繁殖するが、有性生殖の仕組みなどは不明。殻内から糸のような仮足を伸ばして極小藻類やバクテリアなどを捕まえ、餌にするが、栄養の多くは体内に共生させている珪藻(けいそう)から得ている。(『うみと水ぞく』2011年12月号)

  • 学名:Calcarina gaudichaudii
  • 生息地域:種子島以南〜西・中央太平洋域.

チンアナゴ

チンアナゴ
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潮通しの良いサンゴ礁外縁部の砂底や傾斜面に群れで生息し、時には数百尾からなるコロニーをつくることがある。尾部先端から砂に潜り込み、巣穴を掘る。巣穴からは体前部だけを出し、流れに乗って運ばれてくる動物プランクトンなどを摂餌(せつじ)する。危険を感じると一斉に巣穴に隠れる。大きな目、短い吻(ふん)、白黒のカラーパターンが愛玩犬の「狆(ちん)」に似ているところから名前が付けられた。胸びれはごく小さく、ほとんど目立たない。メスよりオスの方が大型になることが知られており、全長40cm、太さ1.4cmまで成長する。(『うみと水ぞく』2010年9月号)

  • 学名:Heteroconger hassi
  • 生息地域:高知県柏島,琉球列島、インド・西太平洋域.

トビハゼ

トビハゼ
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内湾の湾奥や河口域の泥干潟に生息する。水中よりも水上にいることを好み、干出した泥上で小動物を捕食する。水上では鰓(えら)呼吸よりも皮膚呼吸を盛んに行う。目が頭部の上方に突出しているため、前後に広い視界を持つことができる。胸びれ基部の筋肉が発達し、これを腕のように使って泥上をはい回る。また尾部を使い、水面や泥上を跳ねて移動することもできる。ほとんどのオスは1年で成熟し、繁殖後死亡する。メスは2年目以降に成熟し、全長10cmほどになる。生息地である干潟が各地で減少しており、環境省レッドリスト(2007)では準絶滅危惧に指定されている。(『うみと水ぞく』2011年3月号)

  • 学名:Periophthalmus modestus
  • 生息地域:東京湾〜種子島、沖縄島、朝鮮半島、中国、台湾.

トラフザメ

トラフザメ
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温帯から熱帯の沿岸域、特にサンゴ礁域に多く生息するが、日本ではまれ。夜行性で、昼間は海底で動かず休んでいることが多い。全長3.5mになる。全長の2分の1前後に相当する長い尾びれを持つ。また、背中に沿って畝(うね)が見られる。幼魚は、成魚と違い体が黒っぽく、さらに黄色い横帯があることから、英名では「ゼブラシャーク」と呼ばれる。卵生で、メスは一度に2、3個の粘着性の糸を付けた卵を海底に産み付ける。肉食性で餌は、魚類、甲殻類、軟体類。(『うみと水ぞく』2010年12月号)

  • 学名:Stegostoma fasciatum
  • 生息地域:南日本の太平洋側〜南シナ海、インド・西太平洋域、オーストラリア.

ナースシャーク

ナースシャーク
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あまり泳がず、海底にじっとしていることが多いサメ。吻部(ふんぶ)は丸みをおびており、その前方にヒゲが2本ある。このヒゲで餌のタコなどを探し、吸い込むようにして食べる。眼は比較的後方で小さく、性質は見た目どおりおとなしい。尾びれは全体長の4分の1になるが下葉(かよう)は小さい。当園では普段、大水槽の底に静止していて泳ぎ回らないのであまり存在感がないが、餌の時間になると、魚類やイカなどを強い力で吸い込みながら次の餌を探し回り、背面の体色が黄褐色なこともありよく目立つ。(『うみと水ぞく』2010年6月号)

  • 学名:Ginglymostoma cirratum
  • 生息地域:太平洋東岸、大西洋の温帯〜熱帯.

ナガレハナサンゴ

ナガレハナサンゴ
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固着性で半球状の群体に成長し、直径1m以上になる。水深5〜10m付近の波当たりの穏やかな礁池や礁斜面に生息する。触手は昼間に長く伸長し、先端部は肝臓形、耳たぶ形、錨(いかり)形など変化に富んだ形になる。英名ではその形から“Ancho(r=錨) cora(l=サンゴ)”や“Hamme(r=金づち)coral”などと呼ばれる。触手や共肉の色彩は蛍光の緑や、緑褐色、茶、灰色、ピンクなど変化に富む。先端が大きく膨らんだ攻撃用のスイーパー触手と呼ばれる触手を長く伸ばし、他種のサンゴを攻撃する。展示水槽でも、他のサンゴとの攻防が観察できる。(『うみと水ぞく』2011年6月号)

  • 学名:Euphyllia ancora
  • 生息地域:千葉県館山以南〜中・西部太平洋・インド洋.

ナヌカザメ

ナヌカザメ
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水深18〜699mの岩礁域や砂底に生息し、主に夜間に活動する。最大で全長1.2mほどになり、口に入るサイズの魚類や底生性の甲殻類、頭足類などを捕食する。海水を飲み込んで腹部を大きく膨らませる習性があり、体を大きく見せることで、捕食者を威嚇(いかく)したり、岩の隙間から簡単に引き抜かれないようにしたりして捕食を免れる。また、潮流の激しい所では体の保定にも役立つと考えられている。飼育下でも、水槽で捕まえる際、膨らんで狭所に挟まり、移動させるのに苦労したことがある。卵生で、卵殻から伸びる4本のコイル状の突起物がヤギ類などの海底の障害物に絡まるように、一度に2個の卵を産み落とす。(『うみと水ぞく』2017年12月号)

  • 学名:Cephaloscyllium umbratile
  • 生息地域:北海道〜九州南岸の太平洋沿岸各地、新潟県〜長崎県の日本海沿岸各地、東シナ海大陸棚縁辺域、沖縄諸島、朝鮮半島西岸・南岸、済州島、台湾、山東省〜広東省の中国沿岸、海南島.

ナルトビエイ

ナルトビエイ
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温帯から熱帯の沿岸域に群れで生息し、底生、付着性動物を食べる。例年初夏になると須磨海岸にも来遊するが、瀬戸内海での生息が報告されたのは1997年のことである。その後、来遊が増加したのは海水温の上昇が原因とされる。アサリやタイラギなどの二枚貝類への漁業被害を理由に、水産庁からは「漁業有害生物」に指定され、有明海や瀬戸内海では毎年駆除されている。一方、世界的には混獲による個体数の減少により、IUCNレッドリスト(2011)では絶滅危惧ⅠB類に指定されている。飼育下では、同属のマダラトビエイに比べ神経質で、大型の個体はなかなか餌付かずに死亡することが多い。(『うみと水ぞく』2012年3月号)

  • 学名:Aetobatus flagellum
  • 生息地域:長崎県五島灘・和歌山県以南〜インド・西太平洋,紅海.

ナンヨウハギ

ナンヨウハギ
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サンゴ礁域に生息する魚で、鮮やかな青い体色が印象的である。幼魚は枝サンゴの周りに群れており、成長すると潮通しのよい岩礁域に移動する。夜になるとサンゴの隙間に入りこむ。沖縄にも生息するが、その分布は一様ではなく、特定の島でしか見ることはできない。観賞魚として昔から好まれていたが、映画「ファインディング・ニモ」に登場してから、ますます人気となった。藻食性の魚であるが、飼育下では魚肉、レタスなども食べる。尾柄部(びへいぶ)に鋭い棘(きょく)があるので、取り扱いの際には注意が必要。(『うみと水ぞく』2010年6月号)

  • 学名:Paracanthurus hepatus
  • 生息地域:高知県以南、インド−西太平洋.

ニシキアナゴ

ニシキアナゴ
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サンゴ礁傾斜面の砂底に群れをなして生息する。チンアナゴと一緒に生息していることもある。生態もチンアナゴと同様に、巣穴から体前部だけを出して、流れに運ばれてくる動物プランクトンを食べる。敏感に危険を感じ、一瞬で巣穴に隠れる。体側に橙(だいだい)色の横帯があることが名前の由来である。全長40cm、太さ1cmまで成長する。(『うみと水ぞく』2011年3月号)

  • 学名:Gorgasia preclara
  • 生息地域:南西諸島、フィリピン、サイパン島、パプアニューギニア、モルディブ.

ニジギンポ

ニジギンポ
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岩礁性の海岸や内湾の藻場に生息し、須磨海岸でも周年観察することができる。ホンダワラやアマモ、流れ藻などによく付き、活発に泳ぐ。雑食性で付着藻類や小型甲殻類を食べる。産卵期は6〜10月、カキ殻や巻き貝の殻、時には空き缶まで利用してその中に産卵する。孵化(ふか)までの約10日間、オスは絶えず卵にひれで新鮮な水を送り続けるファンニングをして守る。全長11cmにまでなる。上下両顎(りょうがく)の後方には1対の鋭い犬歯があり、噛みつかれるとしばらくそのまま離れず、かなり痛い。(『うみと水ぞく』2010年12月号)

  • 学名:Petroscirtes breviceps
  • 生息地域:下北半島以南の南日本、西部太平洋の熱帯〜温帯域.

ネコザメ

ネコザメ
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全長1mの小型のサメ。一般的なサメとは違い頭が大きく、岩陰などでじっとしていることが多い。頭足類、貝類、甲殻類などを餌とする。臼歯状の歯で硬い貝も噛み砕くので、九州地方では「サザエワリ」とも呼ばれる。性格はおとなしく人を襲うことはないが、2つある背びれの前縁にそれぞれ強い棘(とげ)があるので注意が必要。卵生で卵殻にはらせん状にねじれた突起が付いている。(『うみと水ぞく』2010年9月号)

  • 学名:Heterodontus japonicus
  • 生息地域:南日本、東シナ海.

ネムリブカ

ネムリブカ
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主にサンゴ礁域の浅い海に生息。夜行性で、夜間、活発に動き回って餌を探す。逆に昼間は、岩礁のすき間などに集団で頭を突っ込んで寝ている。全長2m。ひれの先端の白い斑点が特徴で、英名を「ホワイトチップ」という。吻先の両側には2本の鼻弁(ひげ)がある。胎生で、メスは一度に1〜5尾の子どもを産む。沖縄では、昼間眠っている間に、尾柄部(びへいぶ)に縄をかけて船上に引き揚げる漁法がある。餌は甲殻類、軟体類、魚類など。(『うみと水ぞく』2010年12月号)

  • 学名:Triaenodon obesus
  • 生息地域:トカラ列島以南、小笠原諸島、太平洋・インド洋の熱帯域,紅海.

ハコフグ

ハコフグ
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水深50m以浅の沿岸に生息し、群れはつくらず単独で行動する。体は鱗(うろこ)が変形した硬い甲板で覆われているため、両顎(あご)とひれ、尾部しか動かすことができない。体型は、横断面が四角形の箱型をしている。オスは、背中もしくは体全面が鮮やかな青色だが、メスや若魚は青くない。皮膚からパフトキシンという粘液毒を出すが、肉や内臓は無毒であるため食用にもされる。(『うみと水ぞく』2011年3月号)

  • 学名:Ostracion immaculatus
  • 生息地域:岩手県〜四国、九州南部、台湾、フィリピン、東インド諸島、南アフリカ.

ハシナガウバウオ

ハシナガウバウオ
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全長5cmほどの小型魚で水深3~20mの岩礁域やサンゴ礁域に生息する。主にガンガゼなど棘(とげ)の長いウニの仲間の周囲で生活し、危険が迫るとその棘の間に隠れて身を守る。当園では、ガンガゼから離れ、吸盤状の腹びれで岩や水槽の壁などに付着していることが多い。食性は肉食で、カイアシ類などの動物プランクトンや小型の甲殻類、宿主であるウニの棘や管足を捕食する。体表から有毒な成分を含む粘液を分泌することができるが、使用目的は明らかにされていない。雌雄によって吻(ふん)の形が異なり、オスの吻は太短く、メスは細長い。(『うみと水ぞく』2018年6月号)

  • 学名:Diademichthys lineatus
  • 生息地域:千葉県館山湾~鹿児島県までの太平洋沿岸、三宅島、琉球列島、海南島、インド-西太平洋域(ニューカレドニアまで).

ハダカカメガイ(クリオネ)

クリオネ
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一生を泳いで暮らす腹足類(いわゆる巻貝)の仲間で、卵から孵化(ふか)した時点では未発達の貝殻を持ち、植物プランクトン食だが、2週間後には貝殻を消失し多輪型幼生となる。食性は肉食になり、同じく浮遊生活をしている腹足類の有殻翼足(ゆうかくよくそく)類などを襲って食べる。約半年で飢餓に強い成体になる。代謝を遅らせ、体内の脂肪を分解して身体を縮めることで、1年間の絶食にも耐えることができる。「翼足」と呼ばれる体の左右の翼状の足を羽ばたかせて泳ぐ姿が天使や妖精をイメージさせ、「流氷の天使」や「流氷の妖精」などと言われている。和名よりも属名である「クリオネ」が俗称として親しまれている。(『うみと水ぞく』2014年6月号)

  • 学名:Clione limacina limacina
  • 生息地域:三陸沖以北、北太平洋・北大西洋亜寒帯域,北極海.

ハナガサクラゲ

ハナガサクラゲ
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傘径10cmほどのクラゲで、傘の表面や縁にある触手がピンクや緑の蛍光色で彩られる。名前のとおり「花笠」のようで美しい。「綺麗(きれい)な薔薇(ばら)には棘(とげ)がある」といわれるように、本種は刺胞(しほう)毒が強く、刺されると腫れてしばらく痛がゆい。本種は夜行性で、昼間は海藻や岩などに触手を使って定位し、ほとんど動かないが、夜になると活発に泳いで触手を長く伸ばし、小魚を捕まえて食べる。傘の中央にある口で餌を丸飲みし、翌日消化しきれなかったものを吐き出す。餌として、試しに3cmほどの生きたメバルを水槽に入れてみたところ、メバルは触手を避けて遊泳し捕まることがなかった。そこで少し弱らせてから直接触手に付けると、うまく取り込め、食べることができた。(『うみと水ぞく』2014年9月号)

  • 学名:Olindias formosus
  • 生息地域:本州~九州.

ハリセンボン

ハリセンボン
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サンゴ礁に生息するフグの仲間。黒潮や対馬暖流に乗って本州沿岸にもやって来て、定置網に大量に入ることもあり漁師に嫌われる。体色は淡褐色で多数の小黒点がある。皮膚は鱗(うろこ)が変形したたくさんの棘(とげ)で覆われている。「針千本」という名前ではあるが、実際には350本前後しかない。危険を感じると、胃に大量の水を飲み込んで体を膨らませ、棘を立てて身を守る。肉食性で貝類や甲殻類、ウニなどを食べる。産卵期は4〜8月。(『うみと水ぞく』2010年9月号)

  • 学名:Diodon holocanthus
  • 生息地域:津軽海峡以南の日本海沿岸、相模湾以南の太平洋岸、世界中の熱帯・温帯域.

ヒメアイゴ

ヒメアイゴ
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サンゴ礁域の内湾や礁池で見られ、全長20cm程度に成長する。藻食性で、主に糸状藻類を食べる。アイゴの仲間は顔つきがウサギに似ているため、英語で「ラビットフィッシュ」と呼ばれている。体色は背側と尾びれが黄色、腹側は銀白色で、目と鰓蓋(さいがい)を通る2本の茶褐色の斜体が平行して走る。夜になると、体色の黄色と銀白色は消え、全体的に茶褐色になる。背びれ、臀(しり)びれ、腹びれの棘条(きょくじょう)には毒腺があり、刺されるとひどく痛む。産卵期は4〜7月。月齢周期性があり新月の日を中心に産卵する。沖縄では他のアイゴとともに「エイガー」と呼ばれ食用にされている。(『うみと水ぞく』2011年6月号)

  • 学名:Siganus virgatus
  • 生息地域:紀伊半島以南〜東インド・西太平洋.

ヒメエゾボラ

ヒメエゾボラ
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潮間帯から水深10mほどの砂礫底や岩礁帯に生息する。肉食性で他の貝類や死んだ魚などを食べる。当園ではイカの切り身に対して最も嗜好(しこう)性を示した。雌雄異体で交尾により体内受精を行う。メスは硬く丈夫なクチクラ質の卵嚢(らんのう)を、岩石や貝殻のような硬い基質に多数重ね、10cmほどの円塔状の卵塊を作る(写真)。この丈夫な卵嚢の中で育った稚貝は2カ月ほどで孵出(ふしゅつ)する。食用で市場では「磯ツブ」「青ツブ」と呼ばれる。ただし、唾液腺を除かずに食べると、そこに含まれるテトラミンという神経毒により中毒を起こし、眠気を起こす場合があることから「ネムリツブ」とも呼ばれる。(『うみと水ぞく』2012年9月号)

  • 学名:Neptunea arthritica
  • 生息地域:本州(三河湾)以北、オホーツク海、サハリン、朝鮮半島、沿海州.

ヘイケガニ

ヘイケガニ
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水深12~30mの砂泥底に生息し、昼間は浅く砂中に潜っているが、夜間は活発に動き回る。甲幅は2~3cm程度になり、オスは右のはさみが大きい。後ろ二対の歩脚は先端がかぎ爪状になっており、この脚を使って貝殻や木片など平たい物を背負い、身を隠すような動作を見せる。飼育下では、同種または近縁種同士で雌雄を問わずに争う様子が観察され、はさみで相手の体を何度も叩いたり、脚をもぎ取ってしまったりすることがある。凹凸による独特の甲羅表面観を怒った人の顔に見立て、これを平家一族の怨霊を映したものとする言い伝えが古書物に数多く見られ、名前の由来になっている。(『うみと水ぞく』2015年12月号)

  • 学名:Heikeopsis japonica
  • 生息地域:房総半島以南の太平洋沿岸、能登半島以南の日本海沿岸、瀬戸内海、韓国、黄海、ベトナム.

ホウボウ

ホウボウ
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水深5~615mの砂泥域に生息し、最大で全長40cmになる。特徴的な大きな胸びれを持ち、左右とも広げた幅は、全長ほどになる。鰭膜(きまく)の内側は鮮やかな青緑色をしており、これを急に広げて外敵を威嚇(いかく)したり、獲物となる小型の甲殻類や魚類を通せんぼするようにじわじわと追い詰めたりする。また、同じ胸びれの下部には、遊離した3対の軟条が指状に発達しており、先端にはアミノ酸などを感知する味覚器官があるため、これを使って砂中に潜む多毛類などを探り出すことができる。水槽間の移動時など網で捕まえたり、水から出したりすると、浮き袋を収縮させて「ボッボッ」と威嚇音を発する。(『うみと水ぞく』2018年9月号)

  • 学名:Chelidonichthys spinosus
  • 生息地域:北海道~九州北西岸の日本海・東シナ海沿岸、北海道~九州南岸の太平洋沿岸、瀬戸内海、渤海~朝鮮半島沿岸、東シナ海大陸棚域~中国南シナ海沿岸.

ホタテガイ

ホタテガイ
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軟体動物門二枚貝綱に属する。水深10〜30mほどの砂礫(されき)底に生息する。貝殻内部の周囲を覆う膜(外套膜(がいとうまく))で体内に海水を取り込み、餌となる植物プランクトンなどを鰓(えら)で濾(こ)し取る。本種は性転換することが知られるが理由は不明。生後1年までは大半がオスだが、2年目頃は約半数がメスに性転換する。青森県が養殖の発祥。以前は杉の葉を用いて浮遊幼生を着底させ稚貝を入手していた。現在では漁網を入れたタマネギ袋を採苗に使用し、効率を上げている。天敵はヒトデやミズダコ、オオカミウオが知られ、水槽内では同居している肉食性のヒメエゾバイに襲われることもある。(『うみと水ぞく』2011年12月号)

  • 学名:Mizuhopecten yessoensis
  • 生息地域:東北以北〜オホーツク海、朝鮮半島東部、沿海州.

ポットベリーシーホース

ポットベリーシーホース
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ポットベリーとは「太鼓腹」の意味で、その名前のとおり大きく前に突き出た腹部が特徴的。特にオスの腹面尾部にある育児嚢(のう)はとても発達しており、求愛時には一段と大きく膨らませ、メスに対して誇示行動を行う。ペアが成立すると、オスは育児嚢の開口部を広げてメスの総排泄孔(そうはいせつこう)の下に付け、卵を受け取る。育児嚢の中で受精された卵は孵化(ふか)するまで約1カ月間守られ、稚魚の形で産出される。世界で最も大型になるタツノオトシゴの一つで、全長35cmの記録がある。タツノオトシゴ類は同属の全種がワシントン条約付属書Ⅱに掲載されている。(『うみと水ぞく』2010年9月号)

  • 学名:Hippocampus abdominalis
  • 生息地域:オーストラリア南東部、ニュージーランド.

ホンヤドカリ

ホンヤドカリ
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磯の潮だまりで頻繁に見られる。同じ潮だまりに複数匹いることが多く、素早くもないため、簡単に採集することができる。繁殖期である冬を迎えたオスは、メスを見つけると貝殻を鋏(はさみ)でつかんで持ち歩く。捕まったメスは多くの場合、他のオスとの受精卵を持っている。幼生が孵化(ふか)した後、メスは脱皮をするが、これが次の交尾の準備が整ったというサインになる。オスはそのタイミングを待っており、このようなオスの行動を「交尾前ガード行動」という。とはいえ飼育下では、餌が水槽に入ると、つかんでいたメスの殻を離し、餌を食べる方を優先することもある。(『うみと水ぞく』2012年6月号)

  • 学名:Pagurus filholi
  • 生息地域:九州以北、サハリン、千島列島、カムチャツカ半島、韓国、台湾.

マダラトビエイ

マダラトビエイ
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中層をはばたくように遊泳するエイ。吻(ふん)は比較的とがっており可動する。歯は上下一列で、奥から随時更新され、そのうち先端からくの字状にはがれる。個体によってははがれずに口から突出していて、いわゆる出っ歯になっている。腹びれの中間に背びれを備え、その後方に毒針があり、尾部は細長い。魚類やイカも食べるが、当園では生きたアサリを与えており、それを争うように食べる。いくつかまとめてほおばり、泳ぎながら噛み砕いて食べているので、そのおこぼれをカスミアジなどが狙うために追尾する光景が見られる。(『うみと水ぞく』2010年6月号)

  • 学名:Aetobatus narinari
  • 生息地域:本州中部以南、世界の温帯〜熱帯.

マヒトデ

マヒトデ
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日本全国の沿岸で最もよく見られるヒトデ。体色が黄色いものはキヒトデとも呼ばれる。しばしば大発生し、アサリやホタテなどの養殖に大きな被害をもたらすため、駆除の対象となる。近年、本来生息していないオーストラリア沿岸で大量発生が確認され問題になっており、DNA鑑定の結果、日本由来であることが判明した。これは船舶のバラスト水に幼生が混入することや船体に付着して移動することが原因とみられている。マヒトデの捕食方法は、吸盤状の管足で餌を抱え込み、口から反転させた胃を餌に押し付けて消化吸収する。動きは遅いが、サポニンという毒物質を持っており、外敵からは襲われにくい。(『うみと水ぞく』2011年9月号)

  • 学名:Asterias amurensis
  • 生息地域:北海道以南〜北太平洋.

マボヤ

マボヤ
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原索動物は、一生のうちの一時期または終生脊索を持つが背骨を持たない動物群。尾索動物(ホヤの仲間)と頭索動物(ナメクジウオ)に分かれる。ホヤの仲間はセルロースを主成分とする被嚢(ひのう)という硬い組織に覆われることから、被嚢類とも呼ばれ、動物では唯一セルロースの合成ができる。雌雄同体だが、他家受精しかしない。卵から生まれたばかりの幼生は、オタマジャクシのような姿でしばらく遊泳する。その後、岩などに着底すると変態して脊索は退化し、成体になる。東北から北海道にかけて、養殖が盛んに行われており、種付けから漁獲まで3〜4年かかる。産卵期は冬で、最も太る夏が旬とされる。(『うみと水ぞく』2011年12月号)

  • 学名:Halocynthia roretzi
  • 生息地域:日本沿岸、朝鮮半島〜山東半島沿岸.

ミズクラゲ

ミズクラゲ
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日本近海で、冬季から夏季にかけて最も普通に見られるクラゲ。傘の直径は普通10〜20cmであるが、大きなものは30cmを超える。傘の中央に四つ葉のクローバーのような模様があり、これが目に見えることから別名「ヨツメクラゲ」とも呼ばれる。これは生殖腺で、この内側に添うように胃があり、餌の動物プランクトンを食べると胃が餌の色に染まる。刺胞を持つが、毒はそれほど強くはない。(『うみと水ぞく』2010年12月号)

  • 学名:Aurelia aurita
  • 生息地域:北海道の一部を除く日本各地、世界の温帯海域.

ミズダコ

ミズダコ
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世界最大のタコで、胴の先から腕の先までが9.1m、体重272kgの記録がある。水深200m以浅から知られ、魚や甲殻類、貝、ウニなどを捕食する。サメや海生哺乳類に襲われると墨を吐いて目くらましをして逃げたり、海藻や岩に擬態して身を隠す。逆にこれらを襲うこともあり、過去に潜水中の人が手を出して反撃を受けた例もある。メス親は岩穴などで産卵し、卵塊に新鮮な水流を送り続け、孵化(ふか)するまで絶食して保護する。近年、資源の減少を受け、自発的な禁漁期間を設けている国内の漁協もある。(『うみと水ぞく』2012年3月号)

  • 学名:Paroctopus dofleinii
  • 生息地域:本州中部以北、サハリン、千島列島、カムチャツカ半島、アリューシャン列島、アラスカ湾〜カリフォルニア州の沿岸.

ミノカサゴ

ミノカサゴ
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主に熱帯のサンゴ礁域や岩礁域に生息する。夜行性で昼間はサンゴや岩の陰に潜んでいる。背びれ、腹びれ、臀(しり)びれの棘条(きょくじょう)には強い毒を持ち、それをアピールするような目立つ体色や形をしている。肉食性で、捕食の際には大きな胸びれを広げて獲物を追い込むようにして捕らえることがある。近縁種のハナミノカサゴとよく似ているが、眼上の皮弁が短いことや尾びれに顕著な斑紋がないことなどで区別できる。(『うみと水ぞく』2010年9月号)

  • 学名:Pterois lunulata
  • 生息地域:北海道南部以南~インド・西太平洋.

ロウニンアジ

ロウニンアジ
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若魚は内湾で群れをなすこともあるが、成魚はサンゴ礁など沿岸域に単独で生息する。アジの仲間では最大で全長1.8mに達することもあり、当園でも存在感抜群である。また、アジ類の特徴である稜鱗(りょうりん)(俗にいうゼイゴ)が体側後方にはっきりと見られる。餌は魚類、エビ、イカなど。引きの強さから、釣りの対象として人気が高い。食用で美味とされるがもっぱら小型のものに限られる。大型になると餌によってはシガテラ毒を持つこともある。(『うみと水ぞく』2010年9月号)

  • 学名:Caranx ignobilis
  • 生息地域:南日本、インド・太平洋域.

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