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最終更新日:2021年6月29日
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ラッコの飼育員は、餌をやりながらあるものと戦っています。それは餌のより好みをするラッコたち…ではなく、寒さです。
ラッコの飼育エリアは、野生の生息環境に近づけるよう、一年中、水温13℃以下、室温15℃以下に保たれています。冬の北海道やアラスカに比べれば、15℃くらい大したことはないと思われるかもしれませんが、気温30℃を超えるような真夏日には、体感の寒暖差は相当です。しかも、ラッコの餌やりにはとても時間がかかります。海にすむ動物は、たいてい餌の魚を丸飲みにします。ところが、ラッコは餌をかみ砕いて食べるのです。それも、大量に。冷たい岩の上にじっと腰を下ろし、ラッコたちに全ての餌をやり終える頃には、体は芯まで冷えています。おかげで私は冷え症になり、夏でもフリースが手放せなくなりました。ラッコたちはというと、もちろん寒いところでもへっちゃらです。何といっても毛皮は世界一の密度を誇ります。1平方センチメートルに約10万本もの毛で冷たい水をはじき、皮膚が濡れることはありません。さらに、1日に体重の25%ともいわれるほどたくさんの餌を食べ、エネルギーを熱に変えて体温を保っているのです。これを私がやると、エネルギーは熱ではなくほとんど皮下脂肪に変わってしまいます。ラッコたちの寒さ対策を参考にするのは、止めておいたほうがよさそうですね。
『うみと水ぞく』2016年9月号6ページ「ガラスの向こう側」より
上記の掲載内容は2016年9月時点の情報です。
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