南海トラフ地震

最終更新日:2024年5月16日

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近い将来発生が危惧されている南海トラフ地震。ひとたび発生すると関東から九州にかけての広い範囲で大きな被害が想定されており、様々な対策が国や自治体で進められています。
今回は、この「南海トラフ地震」について解説します。(この記事は、2024年5月16日に掲載しています。)

南海トラフ地震とは

地球の表面は、十数枚の巨大な板状の岩盤(プレート)で覆われています。プレートは地球内部で対流しているマントルの上に乗っているため、それぞれが別の方向に年間数㎝の早さで移動しています。そして、プレートどうしがぶつかったり、すれ違ったり、片方のプレートがもう一方のプレートの下に沈み込んだりしています。
日本列島周辺では、海のプレート(太平洋プレートとフィリピン海プレート)が陸のプレート(北米プレートとユーラシアプレート)の下に沈み込んでいます。

日本付近のプレートの模式図(気象庁ホームページより)
プレート

「南海トラフ」とは、駿河湾から日向灘沖までの間で、フィリピン海プレートとユーラシアプレートが接する海底の溝状の地形を形成する区域をいい、この南海トラフ沿いのプレート境界を震源とする大規模な地震を「南海トラフ地震」といいます。

南海トラフ沿いのプレート境界では、フィリピン海プレートが1年あたり数cmの速さでユーラシアプレートの下に沈み込んでおり、この沈み込みに伴い2つのプレートの境界にひずみが蓄積されます。このひずみを解放するために、100~150年の間隔で大地震が繰り返し発生することになります。また、海底で大きな地震が発生すると、断層運動により海底が隆起もしくは沈降します。これに伴って海面が変動し、津波となって四方八方に伝播します。

過去に発生した南海トラフ地震では、宝永地震(1707年)のように駿河湾から四国沖の広い領域で同時に発生した事例や、1944年の昭和東南海地震・1946年の昭和南海地震のように隣接する領域で約2年間の間隔を置いて発生した事例など、その発生の仕方には多様性があるため、南海トラフ沿いで一度地震が発生した場合には注意が必要です。

「地震調査研究推進本部」の地震活動の長期評価では、2024年1月1日時点で、南海トラフで発生するM8~9クラスの地震の確率は、今後30年以内で70~80%程度となっています。

南海トラフ地震で想定される被害と対策

最大クラスの地震が発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10メートルを超える大津波の襲来が想定されています。

南海トラフ地震への対策としては、「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」に基づき、「南海トラフ地震防災対策推進地域」を指定し、国や地方自治体などがそれぞれの立場でハード・ソフト両面から総合的な地震防災対策を推進することとされています。

南海トラフ地震防災対策推進地域(気象庁ホームページより)
(緑色に塗られた領域、赤線で囲まれた領域は南海トラフ地震の想定震源域)
警戒域

南海トラフ地震や津波から自分や大切な人の命を守るためには、国や自治体に任せっきりにするのではなく、日頃から、自宅周辺の危険個所の確認、住宅の耐震化や室内の家具などの固定、防災・災害情報の入手方法、避難場所や避難経路の確認、水や非常食・非常用トイレの備蓄など、個人でできる対策をしっかり講じておくことが重要な事となります。

兵庫県や神戸市での被害想定や防災対策の詳細については、各自治体の関連するホームページなどでご確認ください。
兵庫県:https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk37/jishintsunamihigaisoutei.html
神戸市:https://www.city.kobe.lg.jp/a46152/bosai/prevention/preparation/guide/index.html

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