梅雨と大雨災害

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神戸市防災気象官(気象防災アドバイザー)がお届けする「気象に関するトピックス」3回目は、「梅雨と大雨災害」です。(この記事は、2021年7月2日に掲載しています。)

近畿地方は、1951年の統計開始以降最も早い5月16日に梅雨入りしましたが、いよいよ7月に入り梅雨本番を迎える季節になりました。

梅雨とは

春から夏に季節が移行する過程で、一定の期間雨が降りやすい期間がありますが、その期間を「梅雨(つゆ)」と言います。

この梅雨をもたらすのは、北の冷たく湿ったオホーツク海高気圧と南の暖かく湿った太平洋高気圧の空気が接する境目に出現する停滞前線のためで、これを「梅雨前線」と言います。

梅雨前線は、一般的には、沖縄地方から東北地方へゆっくり北上し、太平洋高気圧の勢力がさらに強まると、梅雨前線は北側へ押し上げられ、梅雨明けとなります。(※近畿地方の平年の梅雨入りは6月6日ごろ、梅雨明けは7月19日ごろです。)

なお、後日、春から夏にかけての実際の天候経過を考慮した検討を行い、その結果、発表した期日が変更となる場合があります。

 梅雨末期の集中豪雨

梅雨明けが近づいてくると太平洋高気圧の勢力が強まり、梅雨前線を北に押し上げるとともに、高気圧からの暖かく湿った空気(暖湿気)が梅雨前線に向かって流れ込みやすくなります。さらに南海上に熱帯低気圧が存在すると、熱帯低気圧からの暖湿気も加わり梅雨前線を刺激することで、前線の活動が活発となり、大雨や集中豪雨をもたらすことが梅雨の終わり頃によく起こります。

近年でも、「2018(平成30)年7月豪雨」や「2020(令和2)年7月豪雨」など、毎年のように梅雨末期の集中豪雨による甚大な災害が発生しています。また、神戸でも過去には、昭和の三大水害と特筆される、1938(昭和13)年7月に発生した阪神大水害や1961(昭和36)年6月の水害、1967(昭和42)年7月の水害が発生し、甚大な被害となりました。この3つの水害は、いずれも台風または熱帯低気圧が梅雨前線を刺激し、前線上を東に進み大雨を降らせたという共通点があります。

梅雨末期を迎えるにあたり、梅雨前線の動きや台風の発生、低気圧の接近通過などに注意するとともに、改めて日頃からの備えを確認しておくことが、大変重要となります。

梅雨末期における集中豪雨に注意すべき気圧配置パターン

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