最終更新日:2023年3月3日
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長田地方の歴史を振り返ってみると、弥生時代にまでさかのぼることができる。日本に初めて稲作がわたってきたのは弥生時代のことで、その当時使われていた弥生式土器が、長田神社境内を中心に苅藻川流域で多数出土しており、人々はこの恵み多い川の流域に居を定めて稲作に従事し、集落を守る神を中心に、四季の生活を送っていた。この苅藻川に沿って長く拓けた田地の美称として、長田の名が起こったといわれている。
画:丘あつし
その後、大化の改新前後には、条理制の地割が行われ、古代の山陽道が整備された。源平合戦の際には長田の谷から長田一帯にかけて主戦場になり、民家などが焼かれてしまったと思われる。南北朝時代にも、合戦の場となり、長田神社は湊川合戦で足利方についた。そして、明治に至るまで、農村地域としてそれぞれの地域は発展してきたのである。
画:丘あつし
1868年(慶応3年)12月7日、兵庫開港が行われ、1879年(明治12年)には神戸市の前身神戸区が、神戸郡・兵庫郡・坂本村を併せて成立している。1889年(明治22年)この神戸区に葺合村・荒田村を併せて神戸市として発足し、長田の方では、東尻池・西尻池・長田・駒ケ林・野田・御崎・今和田新田・吉田新田を併せて林田村となる。
1896年(明治29年)林田村・湊村・池田村を神戸市に編入し、神戸・湊東・湊西・葺合・湊・林田の6区を設ける。
こうして、神戸市に編入された林田区では、道路整備事業が始まると共に、山陽電鉄の前身兵庫電気鉄道により1910年(明治43年)兵庫~須磨間の営業が始まった。
また、兵庫運河沿岸には、精糖工場を始め、製粉工場・発電所・木材業・マッチ工場・鉄工関係の工場が建設されていった。
大正時代に入ると、耕地整理組合による市街地化が始まり、西部・長田・西代と順次耕地整理組合が設置され、農地を整理して道路をつくり、新町名をつけ、将来市街地に発展することを予想して土地整理が行われ、市街地発展の基礎となった。
第一次世界大戦下の好況や昭和初頭の不況などを経て、1931年(昭和6年)行政区が設置された。林田区を始め、灘・葺合・神戸・湊東・湊・湊西・須磨の7区が設置され、戸籍・寄留・埋火葬認許・就学・兵事・種痘・税務・選挙・印鑑・諸証明などの事務を身近に処理できるようにしたのである。
こうした努力にもかかわらず、1938年(昭和13年)の阪神大水害により区内全戸数の80%が被害を受け、更に第二次世界大戦により壊滅的な打撃を受けた。戦災による人口移動で、神戸市の人口分布は大きく変化したため、区域の広さを適正化し、一区一警察署の設置を基本として、1945年(昭和20年)従来の8区は6区に統合された。
従来林田区であった兵庫運河より東の地域を兵庫区に移すと共に、従来は須磨区であった旧西代村の範囲を林田区に編入した。
これが、今の長田区である。奇しくも林田区から長田区に変わって50年目に大震災が起こったのである。
このように、長田の歴史を見てくると、早くから開けた土地であったこと、田園地域から住居地域・工業地域に変遷したこと、近代に入ると耕地整理が行われ市街化が早く進んだこと、水害や戦災にあっていること、第二次世界大戦後早くに基盤整備がなされたことなどがわかる。
年 | できごと |
1868年(慶応3年) | 兵庫開港 |
1873年(明治6年) | 真野小学校創立(1887年に真陽小学校に吸収) |
1889年(明治22年) |
東尻池村・西尻池村・長田村・駒ヶ林村・野田村・御崎村・今和田新田・吉田新田を合わせて林田村と命名。 神戸市制実施。神戸区に葺合,荒田両村を合わせて神戸市とする |
1896年(明治29年) | 湊村・林田村・池田村を神戸市に編入 |
1898年(明治31年) | 苅藻島埋立工事完成(工事着手明治29年8月) |
1901年(明治34年) | 湊川付け替え工事完成、通水式を実施 |
1910年(明治43年) | 兵庫電気軌道(山陽電鉄)兵庫~須磨間開通、長田駅 西代駅開業 |
1919年(大正8年) | 寺池・重池・蓮池を市営住宅地として埋立 |
1931年(昭和6年) | 区制実施(林田区誕生) |
1938年(昭和13年) | 阪神大水害 |
1945年(昭和20年) | 林田区は須磨区との境を変更し長田区と改称 |
1961年(昭和36年) | 長田港の築造完成開港式 |
1965年(昭和40年) | 戦後、長田区の人口がこの年ピークになる。人口214,345人、57,165世帯 |
1967年(昭和42年) | 7月豪雨災害 |
1968年(昭和43年) | 神戸高速鉄道開通(阪神・阪急・山陽・神戸電鉄相互乗り入れ) |
1969年(昭和44年) | 西市民病院完成 |
1970年(昭和45年) | 西市民病院開院 |
1974年(昭和49年) | 丸山コミュニティーセンターオープン |
1977年(昭和52年) | 神戸市営地下鉄西神線、新長田~名谷間開通、新長田駅前ビル完成 |
1983年(昭和58年) | 神戸市営地下鉄山手線新長田~大倉山間開通 |
1984年(昭和59年) | 12月 区の花として「サルビア」を選定(全市ではじめて) |
1985年(昭和60年) | 神戸市営地下鉄山手線大倉山~新神戸間、西神延伸線名谷~学園都市間開通 |
1989年(平成1年) | サルビアギャラリー開設 |
1990年(平成2年) | 長田消防署・警察署の新庁舎完成 |
1993年(平成5年) | 長田区総合庁舎移転 |
1995年(平成7年) | 阪神 淡路大震災 |
1998年(平成10年) | ピフレ新長田(区民ホール)完成 |
2000年(平成12年) | シューズプラザオープン |
2001年(平成13年) | 神戸市営地下鉄海岸線三宮花時計前~新長田開通 |
2003年(平成15年) | 長田区の木が「ハナミズキ」に決定 |
2007年(平成19年) | 西代蓮池公園オープン |
2009年(平成21年) | 鉄人28号モニュメント完成、KOBE鉄人三国志ギャラリーオープン |
2010年(平成22年) | 地域人材支援センター(現:ふたば学舎)オープン |
2011年(平成23年) | 震災復興土地区画整理事業完了、三国志ガーデンオープン |
2012年(平成24年) | 神戸アーカイブ写真館オープン |
2015年(平成27年) | 長田区制70周年、阪神・淡路大震災20年 |
2017年(平成29年) | ながた緑プロジェクト開始 |
2019年(平成31年・令和元年) | 新長田合同庁舎完成、ふたば国際プラザオープン、鉄人28号モニュメント10周年 |