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最終更新日:2023年9月29日
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指定数量以上の危険物の貯蔵・取扱いは、市町村長等の許可を受けて設置された製造所、貯蔵所又は取扱所以外の場所で行ってはならないことが消防法(昭和23年法律第186号)第10条第1項に定められていますが、同条第1項ただし書きにおいて、所轄消防署長等の承認を受けて指定数量以上の危険物を、10日以内の期間に仮に貯蔵し、又は取り扱うことができるとされています。
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、給油取扱所等の危険物施設が被災したことや、被災地への交通手段が寸断されたことなどから、ドラム缶や地下タンクから手動ポンプ等を用いた給油・注油や、危険物施設以外の場所での一時的な危険物の貯蔵など平常とは異なる対応が必要となりました。
これらの経験を踏まえ、震災時等において危険物の仮貯蔵・仮取扱いが想定される事業所の方は、震災時等の被害状況及び想定される臨時的な危険物の貯蔵・取扱い形態について検討され、講ずべき安全対策及び具体的な実施計画を策定し、管轄の消防署と事前に協議していただきますようお願いいたします。
危険物を取り扱う場合は、可能な限り屋外で行うこと。
また、屋内で危険物を取り扱う場合にあっても、可燃性蒸気が滞留しないよう換気に注意すること。
危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号。以下「政令」という。)第16条第1項第4号の規定の例により保有空地を確保すること。ただし、危険物の貯蔵及び取扱い形態から想定される流出危険性及び火災危険性が小さい場合は、当該危険性を踏まえた空地の幅とすることができること。
保有空地の周囲には、柵、ロープ等を立てて空地を確保すること。
危険物の仮貯蔵・仮取扱いを行う場所では、見やすい箇所に標識・掲示板を立て関係者に注意喚起を行うこと。
流出した危険物が拡散しない形状の場所を選定するとともに、危険物の貯蔵・取扱いに伴い大量の危険物が流出する危険性がある場合は、吸着マットの用意や簡易の防油堤を設置する等、必要な流出防止対策を講ずること。
保有空地を含め、危険物の貯蔵・取扱い場所での火気使用を禁止すること。
ガソリン等の第4類第1石油類を取り扱う場合は、危険物容器(ドラム本体、詰め替え容器)だけでなく、給油に使用するドラムポンプ等のアースも確保し、確実に静電気を逃がすこと。また、静電誘導による帯電を防止するために、危険物の貯蔵・取扱い場所には可能な限り金属類を置かず、どうしても必要な場合には当該金属も確実にアース又はボンディング(導体同士を電線で接続すること)を確保すること。さらに、絶縁性素材の用具は極力使用しないこと(遮光や防風にもビニール等帯電しやすい素材を用いることを避けること)。
また、危険物を取り扱う作業者は静電安全靴の着用等静電気対策を行うとともに、作業服を着脱した後には必ずアースされている金属等に触れて危険物の取扱い時における人体の帯電量を小さくしておくこと。さらに、作業場所にビニールシート等を敷く場合には、導電性の確保に留意すること。
給油・移替え等の場合、その流速を可能な限り小さく抑える(充填の初期最大流速は1m/s)とともに、高所から危険物を放出してタンク壁面等に危険物が勢いよくぶつかる状況を避け、また充填後しばらく静置すること。
第4類第1石油類以外の危険物を貯蔵し、又は、取り扱う場合であっても、可能な限り静電気対策を行うこと。
取り扱う危険物に応じた消火設備(消火器等)を用意すること。
危険物を取り扱う場所は明確に区分しておくとともに、作業に関係がない者の立入りを厳に禁ずること。
危険物の取扱いに際しては、可能な限り危険物取扱者免状保有者自身が取り扱うか立ち会うこと。
危険物の貯蔵・取扱いの全体管理業務は危険物取扱に関する有資格者等専門知識を有する者が行うこと。
余震発生、避難勧告発令時等における対応について予め定めておくこと。
1から10で示した安全対策を講ずる上で必要となる資機材等を、当該場所以外の場所から調達する必要がある場合は、調達先・調達手順等についてあらかじめ定めておくこと。
先に示した危険物の仮貯蔵・仮取扱いに際して共通して講ずべき対策に加え、危険物の取扱い形態に着目した特有の対策は次のとおりです。
屋内においてドラム缶等による燃料の貯蔵を行う場合は、当該場所の通風・換気を確保すること。
また、ガソリン等の第4類第1石油類を、夏場の気温の上昇や直射日光等によりドラム缶等の温度上昇のおそれがある場所で貯蔵し、又は取り扱うことは、当該危険物の温度上昇及び圧力上昇により火災、流出事故の危険性が高まるため、厳に慎む必要があること。
ドラム缶等からの給油、小分けについては、可燃性蒸気の滞留防止の観点から、可能な限り屋外で行うこと。また、屋内で行う場合であっても壁2面以上が開放された場所で行うなど、通風・換気の確保された場所で行うこと。特にガソリン等の第4類第1石油類の給油・小分けに際しては、ドラム缶等の蓋を開ける前に周囲の安全や火気使用制限の確認を徹底すること。
燃料の小分け等の危険物の取扱いを行う場所は、ドラム缶等が集積されている貯蔵場所から離れた別の場所に確保するとともに、取扱い場所の危険物量は可能な限り少なくすること。
なお、ドラム缶等から自動車にガソリンを給油する場合、ガソリンが満タンになった場合に自動的に停止する機能がなく、さらに給油中にガソリンの液面の位置を把握することが困難であることから、過剰給油によりガソリンが給油口から溢れ出してしまう危険性があることに留意し、細心の注意を払って給油するとともに、静電気対策を含めた出火防止対策を十分に行うこと。
変圧器等の危険物を収納する設備について、点検、修理するために危険物を抜き取る場合は、大量の危険物が流出する危険性があることから、仮設防油堤の設置、漏えい防止シートの敷設等の流出防止対策を講じるとともに、配管の結合部からの流出防止対策として必要に応じてオイルパンを設置することが必要であること。
また、危険物の流出量を小さくするために、1ヶ所の取扱い場所で複数の設備からの抜き出しを同時に行うことを避けること。
移動タンク貯蔵所から直接給油又は容器への詰め替え(政令第27条第6項第4号イ及びロで認められている取扱いを除く。)を行う場合には、原則としてガソリン以外の危険物とするとともに、特に周囲の安全確保及び流出対策として次の事項に留意すること。
また、震災等により広範囲に渡って給油取扱所の再開の見込みが立たず、応急対応や被災地での生活を営む上で、移動タンク貯蔵所から直接ガソリンを給油する必要に迫られている場合においても、ガソリンは引火点-40度以下と非常に低く、静電気等の火花でも容易に着火する危険性があることや、可燃性蒸気が空気より重く広範囲に拡大して滞留するおそれがある(200リットルの流出事故で最大30mの範囲まで可燃性蒸気密度が高くなる可能性がある)こと等、二次災害の発生防止が極めて重要であることから、次に掲げる危険性について十分な安全対策を実施し、それぞれに適切な対応が必要であること。
震災時等に危険物施設において必要となる臨時的な危険物の貯蔵・取扱いについては、次の事項に注意していただきますようお願いいたします。
震災時等に危険物施設において必要となる臨時的な危険物の貯蔵・取扱いについては、設備等が故障した場合に備えて予め準備された代替機器の使用や停電時における非常用電源や手動機器の活用等、必ずしも消防法第10条第1項ただし書きの規定に基づく危険物の仮貯蔵・仮取扱いの承認を必要としないものもあります。この場合、当該臨時的な危険物の貯蔵・取扱いについては、次に掲げる事前の対応が必要です。
ただし、危険物施設の許可外危険物の貯蔵・取扱いや利用方法が全く異なる設備等の利用等は、危険物の仮貯蔵・仮取扱いの承認又は法令による変更許可が必要になることにご注意ください。
予め想定される震災時等における臨時的な危険物の貯蔵・取扱いについて、具体的にその内容を計画し、許可内容との整合を図っておくことが必要です。
代替手段として用いる設備等についても、消防法第11条第1項により許可する内容に含めておくこと。
発災時の緊急対応や施設の応急点検、臨時的な危険物の貯蔵・取扱いの手順等を定めておき、予防規程及びそれに基づくマニュアル等に位置付けておくこと。
また、定期的に従業員に対しての当該対応の教育を行い、訓練等を行っておくこと。
その他、必要に応じて緊急用可搬式ポンプ、非常用発電機等の緊急時対応用の資機材を予め用意すること。
発災後、予め取り決めていた危険物の貯蔵・取扱いを行う場合は、二次災害を防止する観点から、次に掲げる項目に従って対応する必要があります。
発災直後は、予防規程等に基づき施設の緊急停止や従業員の安全確保に努めること。
施設の応急点検を行って被害状況を確認し、想定していた臨時的な危険物の貯蔵・取扱いが行える状況であるか否かを判断すること。
臨時的な危険物の貯蔵・取扱いの際、流出や火災等が発生した場合は、速やかに危険物の貯蔵・取扱いを中止して必要な対応を行うとともに、消防機関に通報すること。
臨時的な危険物の貯蔵・取扱いの必要がなくなった場合は、速やかに危険物の当該貯蔵・取扱いを停止し、必要に応じて平常時の危険物の貯蔵・取扱いに移行すること。