最終更新日:2023年1月6日
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高潮とは、台風や発達(はったつ)した強(つよ)い低気圧(ていきあつ)が通過(つうか)するときに潮位が大(おお)きくあがることをいいます。満潮のときに高潮が発生(はっせい)すると、海(うみ)の近(ちか)くの地域(ちいき)に大(おお)きな被害をもたらすこともあります。
海面の高(たか)さのことを潮位(ちょうい)といいます。潮位は、月(つき)の引力(いんりょく)や台風(たいふう)・強風(きょうふう)、地球(ちきゅう)の公転運動(こうてんうんどう)などの影響(えいきょう)をうけて上がったり下がったりします。
潮(しお)の満(み)ち引(ひ)きがおきる主(おも)な原因(げんいん)は、月(つき)の引力(いんりょく)ですが、ほかにもいくつかの原因により潮位は変化(へんか)します。
潮が高い時を満潮(まんちょう)、潮が低い時を干潮(かんちょう)とよびます。神戸港(こうべこう)では満潮と干潮では2メートルくらい潮位がかわります。天文潮位は前(まえ)もって予測(よそく)できます。
いっぽう、気圧差(きあつさ)や風(かぜ)など、天気(てんき)の影響(えいきょう)による潮位を気象潮(きしょうちょう)や気象潮位といいます。気象潮位は前もって予測できません。
下は平成30年台風21号が神戸市を通過(つうか)した時の潮位計(ちょういけい)のグラフです。台風が神戸市に接近(せっきん)した午後2時頃にかけて潮位が大きくあがっていることがわかります。
高潮の原因(げんいん)として、低気圧による「吸(す)い上(あ)げ効果(こうか)」と、強風による「吹(ふ)き寄(よ)せ効果」があります。
空気には重(おも)みがあり、海面には空気の圧力(あつりょく)(大気圧(たいきあつ)といいます。)がかかっています。高い山に登(のぼ)ると、おやつの袋(ふくろ)がふくらむのは、袋にかかる大気圧が弱まったことが理由です。
図(ず)のように、高気圧(こうきあつ)では大気圧が強まり、海面を押し下げます。低気圧では大気圧が弱まり、海面を吸い上げます。このはたらきのことを吸い上げ効果とよびます。
ストローで飲み物を飲むときにも、吸い上げ効果とおなじ原理(げんり)がはたらいています。
大気圧が1ヘクトパスカル低下(ていか)すると潮位は1センチメートルあがります。普段(ふだん)の大気圧は1013ヘクトパスカルであり、中心気圧(ちゅうしんきあつ)が960ヘクトパスカルくらいの台風がやってくると、潮位は平時より50センチメートルあがります。
台風や低気圧が近(ちか)づき、強い風(かぜ)が沖(おき)から海岸にむかって吹き始(はじ)めると、海水が海岸に吹き寄せられ、海岸の近くの潮位はあがります。風が強くなると吹き寄せ効果も強くなり、潮位は大きくあがります。
台風は台風の右側(みぎがわ)の地域(ちいき)で強い風が吹きますので、神戸市(こうべし)の左側(ひだりがわ)を台風が通過(つうか)するとき、強い風が吹くことになります。
台風が発生した時には、台風の大きさや強さだけでなく、台風の予想進路(よそうしんろ)についても注意(ちゅうい)しましょう。
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